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読書メモ:ムハマド・ユヌス自伝
- 2007/12/01(Sat) -
 11月はバングラデシュでサイクロン・シドルが猛威をふるい、多くの犠牲者が出てしまいました。その後のニュースでもあまり情報が入ってきませんので、未だに被害の全容もよくわからないままです。

 地形的に災害に見舞われやすい、世界一人口密度の高いバングラデシュという国。そして最も貧しい人が多く暮らす国でもあります。
でもその国からはスーパーヒーローが生まれました。「弱きを助け、強きをくじく」。この本を読むとそんな表現が当てはまるのかなと思います。

2006年のノーベル平和賞受賞者で、グラミン銀行の創設者、プロフェッサー・ユヌスと親しみを込めて呼ばれるその人の半生を描いた自伝です。

知っている人には今更なのかも知りませんが、本当にすごい人がいたもんです。

ムハマドユヌス自伝

ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家 (単行本)
ムハマド ユヌス (著), アラン ジョリ (著),猪熊 弘子 (翻訳)


 現在の自由市場では、すべての社会悪を解決することができないのは明らかだ。
 貧しい人たちが経済活動をする機会、貧しい人たちへの健康衛生面での保障、恵まれない人々に対する教育、老人や知的障害を持つ人々の幸福、 どれも今のこの自由市場の社会では見事に失敗してしまっているのだ。そこで私は、今日”政府”と呼ばれているものが、警察と裁判、国防、外交政策といったものを除く、ほとんどの分野から手を引くべきだと信じている。そして民間分野が---”グラミン的民間部門”とか、社会的意識が動かす民間部門と呼ぶべきものが---政府に代わってそういった役目を引き継ぐべきだと思う。
 活動を開始した当初から、グラミンは多くの論争を引き起こしてきた。左派の人達からは、私たちのことを、貧しい人々に資本主義を植えつけるアメリカ人の陰謀団だといった。そして私たちの本当の目的は、貧しい人々から絶望感や怒りを取り去って、革命につながりそうなあらゆる芽を摘んでしまうことだ、と非難した。
「きみたちが実際にしていることは」ある共産主義者の教授が言った。「まるで阿片のかけらを貧しい人たちにやるようなものだよ。そうすれば、彼らは内在しているもっと大きな政治的問題に気付かなくなるんだ。きみたちの”小さすぎて何ももたらさない”(マイクロ・ナッシング)ローンがあれば、みんな安らかに眠れるから、騒ぎなんか起こしたりしなくなる。彼らの革命を目指す熱意はそがれてしまう。だからグラミンは革命の敵なんだよ」
 右派の保守的なイスラム教の聖職者たちも、私たちが文化や宗教を壊そうと躍起になって活動していると言っていた。
 私はできる限り、大げさな哲学や理論や主義を避けようとしている。私は社会に対する考察を基礎とする実用主義の方を選んでいる。何をするにも現実的であろうと努力している。
<中略>
 貧困は、貧しい人たちが作り上げたものではない。社会構造と政策によって作り上げられたものである。私たちがバングラデシュでしてきたように、その構造自体を変えていけば、貧しい人々が自分たちの暮らしを変えていけることが分るだろう。グラミンでの経験が教えてくれるのは、金融資本の面で支援してやれば、それがどんなに小さくても、貧しい人たちは自らの暮らしに、とてつもない変化を引き起こすことができると言うことだ。


 著者がバングラデシュではじめた「グラミン銀行」とは、家族を食べさせていく為に、割に合わない労働を強いられ、その賃金を金貸しに搾取されて「負のスパイラル」に陥っている人たちを救済したい一心で考え出されたマイクロ・クレジットというシステムを提供する銀行です。
マイクロ・クレジットとは、少額融資を無担保で貸し付けることで、高利で金を貸し付ける業者と縁を切らせ、その資金を元手に自分にできること、自分のやりたいことで生計を立てていくことを支援するシステムのことです。
 
 バングラデシュで試行錯誤を繰り返し練られてきたマイクロ・クレジットは、今や世界中の貧しい人々、特に差別の対象になりやすい既婚女性を中心に利用され、多くの貧しかった人々が職を手にして笑顔を取り戻しています。

 この本を読んで、大いに感動したことも確かなのですが、今まで思っていた「既成概念」が間違っていることを指摘されたのはショッキングでした。
 それは貧困が経済発展にともなう光と影の影の部分ではなかったということです。現在確立された経済学の論理をあてこみ、無意味な開発援助をこれまで続けてきた国際社会の怠惰を反省せざるを得ません。

 本当に貧しい人たちが求めているのは何か?そんなの本人に聞いてみなければわかりませんよね。でも今までは「きっと橋が欲しいだろう、道が欲しいだろう」と勝手に思い込み、巨額の資金が「今必要なもの」以外に投資されていたのかと考えると心が痛みます。

 要は開発援助資金の使い道の「優先順位づけ」だろ?

 いや、それも違うんです。「優先順位」が間違っていたのは確かなんですが、一番優先されるべき、最も貧しい人たちが明日生きていくにはどうすればいいのか?その方法論なしに優先順位をつけてもどうしようもないということです。
 現在の経営学には貧困層が自立するためには「賃金雇用」をいかにさせるかという視点しかないのがその原因と著者はいいます。つまり「自営」という概念が抜け落ちたままだとダメだよと指摘しています。貧しかった人たちが働くことの意義と自信を身につければ、そのさき災害や不慮の事故があったとしても立ち直れるというわけです。

このマイクロ・クレジットのしくみはきっと日本でも役立つでしょう。以前ネットカフェ難民と呼ばれる人々は、家を借りることができないから履歴書が書けない、よって定職につけないという記事を書きましたが、そういった人たちにマイクロ・クレジット的なしくみを適用すれば、横になれず毎日座ったまま眠らなければならない人はいなくなることでしょう。

 著者は2025年までに世界の貧困をなくすと目標を掲げています。その思いは全世界で共有すべきものですね。

 今日は長くなってしまったので、ここまで読んでくれた人がいるのか分りませんが、長くなったついでに最後にもう一か所引用したいと思います。1997年2月に行われた「マイクロ・クレジット サミット」での著者の演説です。

 私たちがここに集まったとき、私は自分に質問してみました。「マイクロクレジット・サミットとは、どんなものなのだろうか?何かワシントンでお祭りでもやっているのだろうか?」
 個人的に言えば、これは私にはとても感慨深いイベントです。<中略>私たちはクレジットを担保という束縛から解放したことを祝っているのです。このサミットは、経済的差別(ファイナンシアル・アパルトヘイト)の時代に別れを告げることを宣言するものです。このサミットでは、クレジットがもはやビジネス以上のものであると宣言します。食料と同じように、クレジットも一つの人権なのです。
 今回のサミットでは、人々の創造性を解放し、貧しい人々が努力するための舞台を設けようとしています。あらゆる貧しい人々が、それぞれ人間としての尊厳を確立するための責任を与えられていることを保証します。
 このサミットは、マイクロクレジット・プログラムに参加したことで、極度の貧困生活から、尊厳を保てる自立的生活へと暮らしを変化させる事が出来た何百万人もの女性たちの成功を祝うものであります。
 このサミットでは、こうして成功した女性たちの後に続いて、一億世帯もの最貧困家庭の人々が成功できる機会を作り出そうとしています。このサミットは資金集めのイベントではありません。繰り返しましょう---このサミットは資金集めのためのイベントではないのです。このサミットでは、私たちが過去の数年間で作り出してきたよいニュースを集めて、世界に影響を与えたいと思っています。このサミットでは意思や能力を生みだし、世界中の貧困を終わらせたいと思っています。<中略>貧困は文明化された人間社会には存在しないものだと信じています。それは博物館で展示されているのがふさわしいものなのです。
 このサミットでは、貧困を博物館に送り込む方法を創造しようとしています。
 ライト兄弟が十二秒の飛行に成功してからわずか六十五年後には、人類は月に行きました。このサミットの五十五年後には、私たちも私たちにとっての月へ到達していることでしょう。私たちは貧困なき世界を作り出しているはずです。
 この部屋の中のエネルギーを感じながら、私はその世界がきっと作れるという、かつてないほどの自信を抱いています。みなさん、一緒に作っていきましょう!
 ありがとうございました。




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読書メモ:ビジョナリー・ピープル
- 2007/11/27(Tue) -
世の中には「いきおい」で成功を手にする人が少なからずいます。しかしその成功を永続的に持続させることは並大抵の努力と運が必要だろうなと言う事も創造ができます。
最近は、せっか築きあげてきた地位や名声を自ら手放し、晩節を汚す人が多いような気もします。
ビジョナリー・ピープルとは、最低でも20年以上に渡り実績を上げ続けている人たち、自分の信じる道をひたすら追求し、ひたむきに、真っ直ぐに、生きていく人たちのこと。

そんなビジョナリーな人たちに10年に渡りインタビューを行い、まとめあげたのが本書です。


ビジョナリー・ピープル

ビジョナリー・ピープル (単行本)
ジェリー・ポラス (著), スチュワート・エメリー (著), マーク・トンプソン (著),
宮本 喜一 (翻訳)


 成功する人は自分の信条や仕事をまっとうしようとして他人の同意を求めることはない、と言う確かな現実があった。彼らには社会的な圧力に屈せず、そうした圧力を跳ね返し、率先して取り組む大胆さがある。他の人から好かれようとするよりも、自分の好きなことに執念を燃やしている。彼らは、たった一度の挫折でうろたえたり落ち込んだりもしなければ、ものごとがうまく行かなくなったときに、他人に責任を押し付けるようなこともしない。逆に、自分たちが追い求める成果をあげるのに最も効果のある仕事に、あくまで最優先で取り組むのだ。成功をおさめている人たちはまた、<自分がしている事に愛情を持つ>ことが、成功するための必要条件だと言っていた。


ビジョナリーな人に備わる共通の三つの要素とは・・・
1.自分なりに定義した意義
2.想像力のある思考スタイル
3.効果的な行動スタイル
これらの三者相互の調和がとれたときに、自分の足元を固める礎となり、ベストプラクティス<成功体験>を持続させてくれるようになるそうです。
人生や仕事上での成功の可能性を大きくしたければ、これらの三つの輪を互いに寄せ、重なり合う面積をできるだけ大きくすればよいらしい。まさに表紙のイラストですね。

ここでいう「成功」というキーワードの解釈がポイントになってきます。
大金を得ることや名声をまとうことが一般的には「成功」を納めると解釈されますが、この本では自分の心の中の声に対して、いかに正直に応え行動できるかということが重要だと説きます。

ネルソン・マンデラ
ジミー・カーター
ヨー・ヨー・マ
ルディ・ジュリアー二
マイケル・デル
ムハマド・ユヌス
ボノ
ビル・ゲイツ夫妻
ジャック・ウェルチ
ダライ・ラマ     などなど・・・

ちょっと有名どころを挙げてみても多種多彩なそうそうたる人たちです。
これらの人たちのコメントがちりばめられた本書は、読んだ時の自分の状況や心境、社会的なステージなどで響き方が違ってくるでしょう。そういう意味では大学生の時に読んでおきたかったと思う本です。

自分にとっての「成功」とは何をすることなのか。

つねに思っておくといいことがあるかもしれません。
明日人生がガラっと変わる出来事があるかもしれませんから。

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読書メモ:チョコレートの真実
- 2007/11/25(Sun) -
チョッコレイト〜 チョッコレイト〜 チョコレイトは〜・・・
と歌う桑田啓佑の声が耳につく今日この頃ですが、皆さんはこの事実を知っていましたか?

「カカオ農園で働く子供達は、チョコレートを知らない。」

甘い甘いチョコレートに隠された苦い歴史と今なお続く搾取される生産者たちのお話です。

チョコレートの真実

チョコレートの真実
キャロル・オフ (著), 北村陽子 (翻訳)


大思想家が自由、平等、博愛を論じ、人権擁護を唱えつつ飲んでいた、砂糖入りのチョコレートやコーヒー。それはいずれも、奴隷の血と汗によって作り出されたものだった。
 カリブ海域とアメリカ先住民は、コルテスが最初にやってきた時に比べて、人口が激減していた。アフリカ人は、最も厳しい虐待にさらされ、アメリカ大陸で暴虐に耐えていた。
 カカオ生産は、三角貿易と呼ばれる恐ろしい制度の上に成り立っていた。商人と大領主はこの商業活動を、ヨーロッパからアフリカ、そしてアメリカへと、大西洋をまたいで行っていた。船はまず、塩漬けの魚から武器まで様々な商品を積んでヨーロッパの港を出港、西アフリカへ航路を取る。積み荷をそこで下し、今度は人間を満載してアメリカ大陸へ向かう。到着すると、奴隷を売って農産物を積み込み、ヨーロッパへ戻る。アフリカから連れてこられた人々は労役を課され、砂糖、ラム酒、カカオ、綿花など、ヨーロッパの工場・市場向けの商品の増産にあたる。大成功したこのシステムは、人間の命の尊厳の途方もない犠牲の上に成り立ち、莫大な利益をもたらしていた。


今から30年くらい前になるでしょうか?小学生の頃にみたテレビ番組、確か「ルーツ」という番組名だったと思うのですが、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人クンタキンテが、理不尽な扱いを受けながら、自由を求めて脱走するという物語だったと思うのですが、このチョコレートの話は、まさに奴隷を酷使することで成り立っている産業の過去から現在のドキュメントです。しかもその話は遠い過去の物語だったという過去形ではなく、今なお世界のどこかで人間としての扱いを受けずにタダ働きさせられている人がいる現実を突きつけます。

現在ニッポンで作られるチョコレートは、おもにガーナから輸入されているようですが、世界一の生産量を誇るコートジボワールの児童労働の状況は悲惨なようです。現在コートジボワールは内戦中で、徐々に安定を取り戻してきているようですが、かえって戦いの終りが児童労働の悪化をまねく恐れがあるとのことです。

 コートジボワールで戦争が終わったら、もちろん仮に終わればの話だが、その時には人身売買は勢いを盛り返すことが予想される。以前の商売が復活するだけでなく、国の再建のために安上がりの労働力を求めることになるだろう。
<中略>
「セーブ・ザ・チルドレン・カナダ」は、もしもコートジボワール内戦が終結すれば、人身売買は野火のように広がるだろうと認めている。子供達はこれまでにもまして、危険ににさらされることになる。


さて、これらのカカオにまつわる奴隷や児童労働を生みだす背景には何があるのでしょうか。キーワードとして挙がってくるのは、多国籍企業、食品メジャー、安物買いの消費者ニーズ・・・
なんか以前に読んだファストフードと同じ構図だなぁ。
かといって、もしもチョコレートの不買などをしたとしても、結局、生産者である貧しい国の人々が助かるわけでもなく、さらに状況を悪化させざるを得ないという不自然なマーケットの構図。

最近はフェアトレードチョコレートというものも段々広まっているようですが、一般に認知されるまではまだまだ道は険しそう。まずは自分が食べているものがどうやって作られているのか、僕たち一人一人が気にしてみることが必要ですね。


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読書メモ:鏡の法則
- 2007/11/14(Wed) -
今日の読書メモ。
ちょっと今日はつかれたなぁ・・・
最近人間関係がうまくいかないなぁ・・・

そんな時に こういう本を読んでみるのもいいかもしれません。
薄い本なので、ちょっとした時間で読めちゃいました。

鏡の法則

鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
野口 嘉則 (著)



 「私たちの人生の現実は、私たちの心の中を映し出す鏡である」これが「鏡の法則」です。
 心の中で不満ばかり抱いていると、その心を映し出すように、ますます不満を言いたくなるような出来事が現実に起きてしまいます。
 逆に、心の中でいつも感謝していると、さらに感謝したくなるような出来事が起きてくるのです。
 「人生は、自分の心を映し出す鏡である」ということは、言い換えると、「自分の心の波長にピッタリな出来事が起きる」ということです。「心の中の原因が、結果として現実化する」とも言えます。



帯にも書いてあるように、「読んだ人の9割が涙した!」は本当か?
まさか自分はたぶん泣く事はないなと思いつつ読み進むと、途中でジワっと来てしまいました。なんとも不思議な本です。

ちょっとしたエピソードが一話書かれています。そしてその後に著者の解説があり、「あなたの人生に幸せをもたらすには・・・」という切り口で 人をゆるす ことを説いています。

人間関係でお悩みの方は、読んでみると心が軽くなれると思いますよ。

ちなみにこの話は著者のブログから発信されて、一躍広まったそうですが、iTunesのPodcastから音声で著者の「ちょっといい話」を聞くことができます。iPodをお持ちの方は、ダウンロードして耳で聞いてみてはいかがでしょうか?

それからもうひとつ。
この本の売り上げの一部は、国際援助団体(NGO)セーブ・ザ・チルドレンをとおして、世界の子供たちを救うために使われるそうです。なのでこれから読んでみようと思われた方は購入することをおすすめします。
ちょうど今、このセーブ・ザ・チルドレンもかかわった不条理な児童労働に関する本を読んでいる所です。
その話はまた今度。

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